ペン森通信
背丈が3センチも縮まった
7月にはいって今年も半分がすぎ下半期になった。人生で言えば、ぼくはとっくに上半期を終えている。ぼくよりちょっと上の年代の時代にはいってきたわけだ。あとは残り少ない第4コーナーと決勝点までのストレートを懸命に走るだけである。先月30日、入院して大腸のポリープを切除した。きのこ状のものが3センチも育っていて、スコープを肛門から差し入れた医者も苦戦したようで、終わったら明らかにほっとした顔をしていた。

手術時間は30分くらいと聞いていたが、1時間はかかった。手術のあと、控室にいたら肩をぽんとたたくひとがいた。振り返ると執刀医だった。「苦労したよ。長い時間よく頑張ったね」と言いたげだった。付き添いの妻と長女にも「ポリープがよく育っていたから時間がかかった」と言っていた。がん細胞を含むポリープを完全にねっこから切除してくれたようで、がんを取り残してはいないはずだとぼくは確信する以外にない。

睡眠薬を常用しているぼくは、その夜眠れなくて苦しんだ。病院だから消燈は夜9時。いつもなら添削を終えてペン森でまだ焼酎を飲んでいる時間だ。ついでだが、禁酒も1週間と言い渡された。これは拷問だ。中島らもの『今夜、すべてのバーで』という小説だったか酒を制限された入院病院でらもが頭にきて内科医と取っ組み合いのけんかをするくだりがある。ぼくはなにが起こっても怒らない主義をとおしているので禁酒も運命と諦めた。

最終日の7月2日、帰りしなに胃カメラの検査があった。小さいポリープを食道などから2つ切り取ったらしいが、その病理結果は21日にわかる。がんではなさそうだ。仮にがんでも切り取ってしまえばいい、といまは思う。昔の仲間鳥越俊太郎はがんも切除すべきと自分の体験から言っている。わが妻だって4つ目のがんを口の中に発症して、現在闘病中だ。元気に家事をしているが、味覚障害を起こして幸か不幸か塩分に過敏に反応する。

手術当日の夜眠れないままに考えたのはホリエモンは逮捕されて刑務所に拘置されたが、よく我慢できたなあということ。結婚披露宴で隣席だったことがあるが、よほど神経が太い人物なのだろう。ぼくなんか1晩でまいってしまった。ほとんど2時間おきに看護師を呼びだし、トイレに付き添ってもらう始末であった。いちいち看護師を呼ぶのが面倒だし恥ずかしい。トイレから出るときも呼び出して看護師がとんとんとドアを叩くまで待つ。

トイレ以上に困ったのはものを食べてない絶食状態が続いていたから、お腹がすいたせいか左手がわなわなと痙攣を起こしたようにふるえ、せっかく出たお粥の夕食も茶碗が激しく上下左右に動いて中身がこぼれそうになった。退院時にはなにごともなかったように収まったがこれがつづいたら、添削もできない、焼酎も飲めない、本も読めない。十数年まえの脳梗塞の後遺症だろうか、こんなにわなわなと震えたのははじめてだった。

わずか1日半の絶食でまいってしまうのだから、ぼくはラマダンのイスラム教にはなれない。退院後もなんとなく元気が出ない。禁酒のせいだ。背丈が3センチも縮んでいたこともわかってショックが消えないせいもあるだろう。


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