ペン森通信
優先席の老人はさびしい。
 昨夜、帰宅の電車で優先席に陣取るとつぎの駅の九段下から3人の老人が乗ってきた。4人席の両はじは30代と思しき男性が座っていたが、すぐ席を立って譲った。ぼくはもちろん座る権利があるから動かない。老人3人は並んで座って話に夢中である。互いに呼び捨ての乱暴な口のきき方から察するに高校か大学の同級生蚊サークル仲間らしい。80代と見た。酒は大してはいってないようだったが、素面でもないようだった。

 曙橋に差し掛かると「ここにフジテレビがあったな」と振り返っている。ぼくに一番近老人は「あした6時起きで仕事だ」という。すると隣り合わせの杖をついている老人が「うらやまましいなあ。まだ仕事をもってるのか」と言った。「幸福だなあ」とも付け足して「うらやましいなあ」とつぶやいて続ける。「仕事をもっているのが人生一番だよな」.ぼくはふと自転車置き場の整理でもいいから仕事があればいい、という話を思い出した。

 難関国立大を出た定年者の集まり、例によって病気自慢、薬自慢、子ども孫自慢がひとわたり終わったところでなにが一番つらいか、という流れになった。たいていは家でテレビを見てすごしている。なかには得意の碁将棋を教えてひまなしのひともいた。「仕事が欲しいなあ」と一人がもらすと「そうだよな」と賛同者が多数いた。「市役所の自転車置き場の仕事も老人がしている。「あれでも仕事がないよりもずっとまし」と嘆く老人もいた。

 ぼくは仕事がないという状況に立ち至ったことがないとはいえ、長期休暇をずっと家にいるとなるほど定年後はこんなにさびしくも退屈な生活を送るのかと、ぞっとする。土日だけでは短いけど疲労はまだ回復してないと感じることもある年齢に達したから、連続3日の休みのあと働くのが最もよい。城山三郎の『毎日が日曜日』という目標・目的を喪失した状態にさまよったあげく清原は麻薬に手を出したのだろうか。

 近所の日曜日のパチンコ店は朝から大入り満員だ。いかに無趣味のお父さんが多いかをそれで知る。ぼくはもうパチンコ、カラオケ、パチンコ、フ―ゾクは趣味ではないから、絶対と言えるほど行かない。そういう手立てで時間をつぶすのはもったいない、と思う。休日の時間つぶしは昼寝、テレビ、家事手伝い、買い物、DVD鑑賞である。DVDも1月の会員カードの更新をしなかったので古くて安いモノクロ版を買ってすませている。

 PCもスマホももってないから、近年の若者がやってることはほとんどできない。ケータイはガラ系だが休日や車内では優先席利用だからOFFにしていて、よくONにするのを忘れるからあまり役には立たない。遠慮なく優先席に座るようになったのは70代の後半になって杖に頼る身になってからだ。60代は逡巡していた。70代前半はばあさんを見かけると優先席を立って席を譲ったものである。

 朝遅い電車でペン森に向かうが、優先席に座って足を投げ出している大学生のような若い男がいる。必ずスマホをいじっている。いったいなにを見ているのだろう。「おい、新聞を読め」と言いたくなる。でもこいつらは新聞は読まない。優先席の年配者は新聞を読んだり、ポケット版の本を手にしていることが多い。

 

 
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