ペン森通信
ぼくの恋愛論を聞いてくれ
 北野武の『新しいい道徳』という本はすばらしい。子どもに対する愛情に満ちた内容だ。年寄りは自分の考えを子どもに押しつけるな、と強調している。「古くさい道徳を子どもに押しつけたって世の中は良くなんかならない。そんなことより、自分の頭で考え、自分の心で判断できる子どもを育てる方が大切だろう」とあとがきで言っている。「そのためには、まず大人が自分の頭で考えることだ。道徳を他人まかせにしちゃいけない」

 「それがいいたくて、この本を書いた」という。だから、「最初にお願いしておきたい」とことわる。「他人のいったこと、他人の書いたこと、あるいは他人の考えたことを、そのまんま鵜呑みにする性癖のある読者は、ここですぐさま本をパタンと閉じて棄ててしまっていただきたい」と。自分の目で見て、耳で聞いて、肌で感じたことを書きなさいとぼくが作文のネタさがしの心得やその生かし方を言っていることと変わらない。

たけしのホンネの本でもある。ぼくはビートたけし名で書いている新潮文庫の「悪口の技術を」を読み終えたばかりだが、これもおもしろい。こっちのほうは新聞ネタというか、時事的な話題を俎上にのせて小気味よくぶった斬っている。時事的な話題といってもSMAPの稲垣の澁谷事件やブッシュ、サダム・フセインがでてくるから中身の素材はかなり古い。この本でぼくが気に入って笑ったのは「究極の『恋愛論』」であった。

たけしはこれを書くためにスタンダールの『恋愛論』をあわてて買ったらしいが、「期待したほど面白くない」と嘆いている。「恋愛を分類したり、分析したりして何が面白いんだ」。「恋愛はまず『見た目』からだよ。(中略」でなきゃ、ファッションヘルスとかの性風俗は成り立たない。女の子の顔を見て『おっ、この女がいい』って選ぶわけだからね」と述べて続ける。「結局は相手を自分のものにしたい、異性を所有したいという欲望があるだけ」

 ぼくは恋愛論は読んだことがない。読もうと思ったこともなかった。恋愛はそこそこ経験した。第一、ペン森が20年継続してきたのもぼくが恋愛体質だからだと思う。男女関係なく若者に軽い恋をしてきたからペン森に熱中できるわけだし、長続きしてきたわけだ。「軽い」というところがミソである。重かったら大変消耗するにちがいない。七つ下がりの雨と四十過ぎの道楽はやまぬ、と言う。道楽を恋と言うこともある。

 ペン森はぼくにとって道楽でもあるし恋の相手でもある。七つ下がりと言うのは午後4時すぎの時間帯だ。ぼくがペン森を開設したのは57歳だから、どちらかと言えば老いらくの恋だが、いっこうにやまないのは、半分は若者の作文添削が好きだからである。添削は37歳からやっていた。ペン森ゼロ期の古いメンバーよりも前だ。いまは途切れているが、50代まで現役大学生との付き合いをたやしたことはない。
 
そういう意味ではたけしの考えとはちょっと違う。異性を所有したいという欲望がからきしないからだ。ペン森の異性に好ましい子もいるにはいるが、さすがに所有したいとは思わない。21期生に可愛い子はいますかとOBに聞かれるが、彼らにもまだむきだしの所有欲望はないようだ。

スポンサーサイト

この記事に対するコメント

この記事に対するコメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する


この記事に対するトラックバック
トラックバックURL
http://penmori2007.blog108.fc2.com/tb.php/737-b74e62ce
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

瀬下先生

Author:瀬下先生
FC2ブログへようこそ!





最近の記事



最近のコメント



最近のトラックバック



月別アーカイブ



カテゴリー



ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる



ブログ内検索



RSSフィード



リンク

このブログをリンクに追加する