ペン森通信
起こらない大人に甘えるな若者
このところ、怒ったことがない。怒らないことにしているからである。怒るとあとで気が沈む。一時的な感情の爆発は、爆発して気分が快晴になるのではなく、曇天か雨になることが多い。怒ったあとに不愉快になるのだ。もともとぼくは導火線の短いほうの男だったが気を長くもつように自分に課してて導火線が長くなった。長くなっても爆発するし炎が燃え盛ることに変わりはない。短かった若いころは役員に突っかかったりした。

 感情が激することが少なくなったのには、たぶん歳のせいもあるにちがいない。自分で言うのもなんだが、好々爺に近づいたのである。ときどき若いころを思い出してはちょっとしたことでよく他人をなじったものだと思う。新聞社にいたころ経済部出身のSという常務がいた。下の名前を「望」と言った。社員はかれを「絶望」と陰で呼んでいた。何が原因だったかは忘れたが、無性に腹が立ってかれを会議室に引っ張り込んだ。

文句をつけるためである。「あんたのようなひとが偉くなるからこの会社はだめになるんだよ」と口汚く罵った。会議室で作業をしていた社員たちはいたたまれなくなってみんな出て行った。その後かれはどういう風の吹きまわしか、ぼくに親しく接するようになった。前の会社でぼくが今度は役員だったとき、新入社員のなかに社会人人経験者がいて、ぼくに歯向かってきた。ぼくはそいつをことのほかかわいがって目をかけるようになた。

ぼくに歯向かう勇気を買ったのである。なぜかれがみんなの前で血相変えてぼくに立ち向かってきたのかはもう記憶にない。おそらくかれ触れてほしくない感情に触れるようなことを言ったのだろう。会社という組織では立場が上の上司に明らかに逆らうには多大の勇気を必要とする。場合によっては左遷も覚悟しなければならない。ぼくは若いかれは案外、気骨があると感じた。以後、逆らってきたかれをかわいがるようになった。

S絶望常務もぼくに対して気骨があると思ったのかもしれない。ぼくはそんなに気骨はない。気の弱い被害者タイプである。被害者タイプは陰にこもりがちだが、ぼくはそこまで繊細ではないので陰にこもって相手を恨むとか、ということもない。淡白な被害者タイプと自分では思っている。だが恨まれるようなことはあるかもしれない。以前、ペン森にしつこく無言電話がかかってきたこともあった。内定させてもらえなかった逆恨みだと思った。

内定するもしないも自分の責任なのだが、作文の数もこなせないで逆恨みされてはかなわない。せめて1週間に1,2本コンスタントに書き、ネタ切れになったらネタ探しに出向く。ネタ探しはぼくが用意したものにすがりつく者が多い。自分で探して、これは!と感じてはじめてセンスが身につく。いまのところセンスがいいのは20数人のうちほんの3,4人にすぎない。何も感じない、考えない者は怒りたくなるが、ほっといて怒らない。

新聞社の古手に聞くと、配属された新人に対して怒るとプイと辞めてしまうことがあるそうだ。いま若いひとは怒られ慣れてないのだ。逆に見れば怒る大人がいなくなった。ぼくも怒りを発しないじいさんになった。若者はもう少し怒って鍛えたほうがいい。人権侵害、パワハラ。世の中うるさすぎるね。







スポンサーサイト

この記事に対するコメント

この記事に対するコメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する


この記事に対するトラックバック
トラックバックURL
http://penmori2007.blog108.fc2.com/tb.php/691-c5e217ac
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

瀬下先生

Author:瀬下先生
FC2ブログへようこそ!





最近の記事



最近のコメント



最近のトラックバック



月別アーカイブ



カテゴリー



ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる



ブログ内検索



RSSフィード



リンク

このブログをリンクに追加する