ペン森通信
「社会を変えたい」若者たち
新聞の連載コラムで最も最も同意するのは毎日の水曜日に掲載される山田昌弘中央大教授の若者論あるいは日本人論である。山田は前任の東京学芸大時代にはパラサイトシングルという言葉と日本に広がるその現象に着眼したことで注目された。9月24日のコラムでは日本企業の新卒一括採用と年功序列の慣行が崩れない理由は日本語の「敬称」や「敬語」にあるかもしれない、と考察している。そこに日本的上下関係が包含されている。

年功序列が企業や公務員の社会でまだ局所的に守られているのは、仕事上の上下関係が人格上の上下関係と混同しているからだという。いままで、おれおまえで呼んでいた関係で一方が昇進し、一方が敬語を使う関係になると、ぎくしゃくする。英語や中国語などには丁寧な表現はあっても身分的な上下関係を表すための敬語はない。職場は職場、人格は人格と割り切るひとが多いから、年齢にこだわらない採用や昇進が行われる、と解説した。

ペン森は19期生の就活がほぼ終わって、大学3年生の20期生が問い合わせてきたり、申し込んだりしている。もちろんかれらは新卒一括採用の機会をねらっているわけだ。このあいだすでに新聞記者として就職している男子が20期生の男子と話している最中、突然怒り出した。「きみはおれにタメ語をずっと使っている」と。1年先輩たる19期生のプライドが傷ついたらしい。若者をも染め上げたなんとも厄介な上下関係意識である。

ぼくが前に勤めていた職場にはアメリカ人の部下が2人いた。かれらは前方から歩いてくるぼくを認めると脇にどいて通りすぎるのを待っていた。要するにボスに道を開けていたのである。アメリカ人の場合も違った意味で上下関係はうるさい。軍隊で上司が戦死するとつぎのボスをだれにするかでもめるが、決まると全員がそれに従う。これは指揮命令系統を明確にするための知恵なのだろう。ボスが代わっても敬語が不用な点はいい文化だ。

新聞社も放送局も若い社員の流出に悩んでいる。毎日が11月23日に採用試験をやるのもそのせいに違いない。新聞社は受験できる年齢制限は30歳近くまでとゆるやかだが、他の業種はそうはいかない。だから新卒時に就職できないとその後も正社員になるのは難しい。若者の6人に1人は貧困だといわれるが、そのほとんど全員が非正規だろう。本日の山田コラムは「意義唱えぬ日本の若者」である。香港に比べてたしかに異議は唱えない。

 内閣府の2014年版『子ども・若者白書』によると、「社会現象が変えられるかもしれない」と答えた若者はアメリカ、フランスなど調査7カ国のなかで最低の30%だった。30%もいるのかと、ぼくなんかほっとした。「社会をよい方向に帰るために行動したい」という30%の若者たちこそ記者志望にふさわしい。むかしから「若者こそ、社会を変革するエネルギーをもつ」といわれたものだ。大勢に従うおとなしい若者が増えたのはなぜか。

20期生になる19期の延長組女子は地方銀行に内定している。記者になって女性の貧困問題に取り組みたい、と志は冴えている。銀行に勤めてなにか金融関係の資格を取ってからでも遅くはないとぼくは言っている。新聞は2,3年後でも十分に間に合う。意識さえあれば、銀行から社会を見て感じることは作文のネタになるし、女性の貧困もリアルに見えるはずだ。
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