ペン森通信
地震、雷、火事、女の現代
 昨夜は疲れていたので、帰りの電車は空いていた優先席に座った。向かいの1人分の優先席に白髪白ひげの70歳くらいとおぼしき男性が座った。ぼくが本を読みはじめていると、白髪が隣の30代とみられる先客女性に文句をいわれてきょとんとしている。「・・・」。「脚が邪魔なのよ。脚!」とにらむ。白髪は女性に一瞥をくれて、脚をすぼめる気配もなく夕刊紙をひろげている。

 たしかに白髪は脚をややハの字型に開いていて、右ふくらはぎあたりが女性のパンタロンを圧迫してしているかもしれなかった。「脚よ、脚!」と女性は再びするどい声を発した。白髪は動じるふうもなく、黙って夕刊紙を見入ったままハの字の先端、すなわち靴をせばめようとしない。ぼくは女性の態度に既視感があったね。どうということもないのにいちいち口うるさい。わがまま、自分勝手、価値観の強要。そういうのがかつてペン女のなかにもいたからさ。

 そもそもくだんの女性は若いはずなのに優先席にどっしり構えているのが気にくわない。白髪を目にしたら席をたってゆずろうとするのがマナーだろうに。その点、韓国へ行ったぼくと同年齢の高齢者がしきりに感心していうには「若者が電車でもバスでも条件反射のように席を立って、年寄りに席を空けるんだよね」。さすがに長幼の如の儒教の国だね。

 年上を敬い大切にあつかってくれる美風は日本にもあった。ぼくの親父は実家に帰るとぼくからみれば祖父に対して、正座してまずあいさつしていた。怖いものの代表が地震、雷、火事、親父だった向田邦子の時代、日本にも長幼の如があったような気がする。いまや親父は怖いどころか、友だちあつかいされてため口をきく相手。権威も権力も失墜した。大沢親分と張本の「喝!」が親父にとっての一喝の代弁みたいなもんだ。

 白髪はその後同じ優先席にできた空席にずるずると身をずらして、女性と距離をとった。きょうあたり飲み屋で「怖い女がいてさ」なんて話しているのじゃなかろうか。「おれは意地でも脚をせばめなかった。触らぬ女にたたりなし。女にはかまわないのが身のため」。ぼくとしては「ここはおれたち老人席だ!」と女性に喝をいれてほしかった。周囲もぼく同様、ちらちら見るだけ。いやあ、白髪はとんだ災難だった。地震、雷、火事、女の現代。(PC不調につきこのブログはちょっと間ができた)



 
この記事に対するコメント
米・雑穀・シリアル
米・雑穀・シリアルを探すなら http://www.nbmcomputers.com/100227/110472/
【2008/10/04 16:58】 URL | #- [ 編集]


この記事に対するコメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する


この記事に対するトラックバック
トラックバックURL
http://penmori2007.blog108.fc2.com/tb.php/59-b5c7828a
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

Author:瀬下先生
FC2ブログへようこそ!





最近の記事



最近のコメント



最近のトラックバック



月別アーカイブ



カテゴリー



ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる



ブログ内検索



RSSフィード



リンク

このブログをリンクに追加する



By FC2ブログ

今すぐブログを作ろう!

Powered By FC2ブログ