ペン森通信
ぼくもご飯からパン食へ
 日本の農政はNO政だと評される。政策が安定しないからだ。きょうの朝日新聞のトップはコメの減反廃止を農水省が自民党に提示した、という記事。減反は生産調整という美名の下で40年維持されてきた。これが廃止されるというのだから、大きな農政転換である。朝日は内政面(4面)でも関連記事を大きく掲載している。他紙がどう扱っているのか知らないが、農水省が朝日を使ってアドバルーンをあげて反応を見たのではと思う。

 経済記事なら日経に最初に報道してもらえるようニュースを漏らして反応を見る日経ファーストが有名だが、官僚の手法として朝日ファーストがあるような気もする。朝日ファーストであろうとなかろうと、将来を見据えた日本の農業を転換しなければならないことは間違いない。減反するとお金がもらえるという仕組みもそうだし、コメ(精米)778%と輸入農産物に高関税を課すという策もしかり、日本農業は手厚く保護されてきた。

 そりゃそうだろう。農家の平均経営規模はEUが日本の9倍、アメリカ100倍。オーストラリアにいたっては2000倍だ。とても太刀打ちは不可能。日本の食糧自給率は39%と他国に比べて極端に低い。60%は輸入に頼らねば日本人は食いっぱぐれるのだ。もっとも日本の自給率の計算は世界のどこも採用してない独特のもので、実際の自給率は60%以上という説もある。日本は生産ベースではなくカロリーベースで計算している。

 減反というのはコメの供給を減らす政策にほかならないが、なるほどぼくも朝食はいつの間にかトーストに変わっている。前はご飯派だったおやじがパン食になった家庭も多いと思われる。ぼくは高齢になって、以前なら10キロ持てたコメもいまは5キロがやっとだ。高齢者にとってコメの重量は大きな問題だ。ぼくはスーパーでパンを買うことはあってもコメを買うことは年に何回もない。それも無料配達の時間帯を利用して買う。

 ぼくが小学低学年のころは「お百姓さんありがとう」という歌があった。うちは林業を営んでいたが非農家には違いなく、肩身の狭い思いをした。田植えや稲刈りの農家が多忙な農繁期には小中学校も休みになった。小中学生を労働力とするほど、農業が盛んな時代だったのだ。ぼくが大学生だったころの60年当時、農家は500万戸だったが、2010年は約116万戸に減っている。大学生のころうちの林業も立ち行かなくなった。

 時代の潮流からすると、農林漁業の第一次産業の衰退の流れは現在もつづいている。農水省のコメ生産見直しは、農家に対し自助努力を促すものだが、日本の農業は品質で世界と勝負する時代へと変化せざるをえないのだろう。寿司は世界中に広まってきたし、果物や日本酒やワインも評価が高い。日本の農産物も保護に甘えるのではなく、安心安全高品質で攻めに攻めて、夢と希望の業種に変質してそれで食えるようにしたいものだ。

 世界の貿易の自由化と多角的貿易推進のための通商交渉ウルグアイラウンドに合意するとき、日本は農業に6兆円のカネをばらまいた。このカネは後継者育成に役立てることもなく、農道などの公共事業に7割が使われた、という。このような愚挙を繰り返してはなるまい。魅力ある輸出産業に脱皮できれば若者も従事するようになるだろう。
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