ペン森通信
あいつだけは許せないのだ
 安倍首相の田中均元外務審議官のインタビュー発言に対する逆上気味の反応に首相の器かと疑問を呈するひとが多い。インタビューは6月12日の毎日新聞朝刊に掲載された。「国際会議などで、日本が極端な右傾化をしているという声が聞こえる」とか「飯島さんの訪朝がスタンドプレーだとは言わないが、そう見られてはいけない」などと皮肉った。安倍はFBで「彼に外交を語る資格はありません」と興奮をもろに出してののしった。

 一国の最高権力者が一民間人を名指しで非難するとは、と同じくFBで噛みついたのが民主党の細野豪志幹事長。田中は、現在は一民間人だが、小泉政権時のアジア大洋州局長として加わった訪朝団の一員。安倍は官房副長官として同道している。このとき、拉致被害者5人を北朝鮮に帰すべきと田中は主張したが安倍が覆した、と言う。「この時、田中氏の判断が通っていたら5人の被害者と子供たちはいまだに北朝鮮に閉じ込められていた」と。

 これは想像だが、安倍と田中のあいだには抜きがたい確執があったにちがいない。互いに不快に思う存在なのだ。だれしもあいつだけは許せないという相手がいるものだが、安倍にとっては田中がその一人なのだろう。でなければ11年前の話を持ち出して「外交官として決定的なミス」と断じるわけがない。あるいは安倍は案外執念深い性格から、けんか腰の狭量な言葉を投げかけたのだろうか。批判に対して免疫がないのかもしれない。

 国際的に日本が懸念されている右傾化にはなにも触れないで、一国の首相が批判者に対してもっぱら個人攻撃をする。これは怖いことだ。これでは異論を言う人間はいなくなる。ただでさえ内閣の支持率の高さゆえ、安倍のポチ現象が言われているのに、それに輪をかけるだけだ。田中は外務省在職中から亡国官僚と悪口を言われ、自宅に爆発物もしかけられたことがある。細野は一民間人にも表現の自由があると書いた。ぼくも同意する。

 ぼくは、「岸を倒せ!」のシュピレフコールデモ隊が国会を取り巻いた60年安保世代だ。岸とは、安倍の祖父岸信介。太平洋戦争開戦時の商工大臣でA級戦犯だったが釈放され、政治家となった。安倍の父親は元自民党幹事長の阿倍晋太郎。晋太郎は毎日の政治部記者で、現首相安倍を自民党代表選に出馬して総理をめざせと尻を叩いたのが、ぼくも顔見知りだった毎日政治部出身の三宅久之。毎日が安倍に甘いかというと、批判派に近いだろう。

 毎日はきのう20日の社説で書いていた。「首相らの言葉 著しく思慮欠く罪深さ」。高市早苗政調会長の「福島原発死亡者なし」と合わせての苦言である。おとといの夕刊でも論説委員の与良正男が「首相、器が小さいよ」というコラムを書いていた。原発の輸出に関しても記事や社説で疑義を投げかけている。でもこれが国民のパワーに昂揚するわけでもない。安倍の天敵と思われていた朝日だが、妙に仲良しの印象があって、気色がわるい。

 さて、23日は参院選の前哨戦の東京都議選。これまた困った。いったいだれに投票したい党がない。維新の会は橋下と慎太郎だけでなく大阪と東京が分裂含みの様相を呈している。外野から見るとこのけんかはおもしろいが、どちらも応援する気はまったく起きない。ひねくれのぼくは反原発・憲法改正反対の共産党に1票を投じるか。自民、民主も他の党も気乗りしないなあ。


 
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