ペン森通信
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怨念のNHKスペシャル『ガラスの巨塔』
文庫本になったら買おうと思っていたNHK内部をあからさまに描いている『ガラスの巨塔』が文庫化された。著者の元NHKエグゼクティブ・プロデューサー今井彰もツィッタ―で文庫になったとつぶやいている。今井はNHKの看板番組だった『プロジェクトX』を手がけたすご腕プロデューサーだったが、この本によるとNHK内部に渦巻く嫉妬で石もて追われるように去ってゆく。今井は激しい性格のようでいじめた元上司を容赦なく責める。

今井は「エビジョンイル」と言われた絶対権力者、海老沢勝二元会長に可愛がられたが、2004年当時不祥事続きのNHKがマスコミ批判の集中砲火を浴びた際、海老沢会長が
辞任すると今井への風当たりは一層強くなって、四面楚歌の状態になる。今井は渋谷で7300円の商品を万引きしたかどで逮捕されたが、そのことにも著書で触れている。この件は不起訴処分となったが、本人の文章を読む限り不起訴は当然と思える。

 ぼくは番組制作のことはよくわからないが、ずいぶん手間をかけるもんだと思った。番組でなくても事件事故の現場では、やたらNHKは記者、カメラマンを投入してくる。3・11大震災の際、津波の襲うさまを上空のヘリコプターから撮影した映像はさすがと感じ入ったが、大きな空港にはカメラマンを常駐させているのである。1世帯当たり年間約3万円の聴取料をもらっている手前、それくらいの金と人の使い方は責任上、当然だろう。

 この本はNHKを1企業として書いているが、NHKは法人税免除、事業予算は国会の承認を必要とする特殊法人である。国営放送というとNHKの人間はいや公共放送だと不愉快な顔をするが、国に首根っこを押さえられている関係もあって与党に弱い体質は否めない。
新聞はその点自由だが、放送は放送法によって律せられ新聞ほど自由ではない。新聞は論説委員がいるが放送局は論を張ってはいけないので、論説ではなく解説委員である。

 NHKの解説委員は50人という大人数。大手新聞論説委員の倍くらいの数だ。その解説委員で定年を迎えた友人に3・11後ばったり会ったら、「うちの会社では福島原発の批判はあまり扱えない」と立ち話で憤慨していた。扱っても視聴者の少ない深夜だと嘆いていた。知人のドキュメンタリー監督は「NHKは民放に比べると窮屈でかなわない、もうあそこでは仕事はしない」と切り捨てていた。うかがい知れぬ不自由さがあるのだろう。

 どこの会社にもそれなりの規律があるだろうが、どうも今井本を読むとNHKは度外れているようだ。エネルギーは外ではなく内へ向けて発揮され、それが怪文書や社内空気の汚濁に結びついている、と読める。だが権力争いや派閥暗闘には新人はまだ心配しなくてよい。だが社員1万人を超える巨大組織だ。同期同士の足の引っ張り合いはすさまじい、と聞く。少しでも目立ち、他人は目立たせないようにしよう、という作用が働くらしい。

 幻冬舎文庫の『ガラスの巨塔』は小説仕立てのドキュメンタリーだが、NHKの実像がよくわかる。読後が決して愉快ではない。NHK人間群像の憎悪や怨念やねたみや誹謗中傷や告げ口などの醜悪さが拡大されて目の前に提示されると、自分の内面にもそのような唾棄すべき心理が潜んでいるような暗示を受けておだやかではいられないのだ。

 

 
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