ペン森通信
「憲法」の風向きが変わったぞ
 慶応大学の小林節教授は名だたる改憲派の憲法学者として知られる。そのごりごりの小林教授は安倍首相の悲願憲法改正の理解者と見られていたが、朝日紙上で憲法96条改正に難癖をつけたから驚いた。96条は改憲の国会発議の要件を衆参両院とも議員3分の2以上の賛成が必要で、国民投票で過半数を得なければならない。ご存じのとおり、まずはこのハードルの高さを低くして跳びやすくしようというのが安倍首相のもくろみである。

 首相は第一次安倍内閣時代、大腸炎で政権を投げ出す前に、改憲の手続きに必要な国民投票法を成立させている。今年7月21日投開票の参院選で自民党と同じく改憲党のみんなの党や日本維新の会と合わせて改憲に必要な議席を確保することもむずかしくないと思われていた。だがここにきて、橋下のあの発言とみんなの党との仲たがい、加えて株の乱高下と円安による高価格が招いた末端消費者への打撃という冷や水が浴びせられた。

 憲法改正には96条の改正から手をつけるべし、と安倍首相に知恵をつけたのは維新の会の橋下徹共同代表だといわれるが、真偽はわからない。だが橋下は弁護士でぼくが毎日曜日午後9時から見ていた日本テレビ「行列のできる法律相談所」のレギュラー回答者だったからなるほどと思う。意見をはっきり言う歯切れのいい、物おじしない多少生意気な若手の回答者。それがたぶん島田神助のアドバイスで政治の世界に足を踏み入れた。

 飛ぶ鳥を落とす勢いの橋下と安倍は自民党総裁選前から会合を重ねていたと伝えられた。当時から2人は教育問題や憲法では共通認識をもっていると見られていたのだ。大阪維新の会の維新八策には96条改正が掲げられている。首相の96条改憲の先には、もちろん戦争放棄をうたった9条を変えようとする意図がある。国民国家の構成条件のひとつに正規軍の常備があるが、自衛隊を国防軍に格上げして軍事力を強化しようというわけだ。

 ところが連立を組む公明党が考えを異にする。公明党は創価学会を母体とする反戦・平和の党である。学会の婦人部と青年部は平和運動に熱心。96条は9条改正への入り口だから、婦人部は戦争への道を開く9条改正には強く反対している。それが前のめりの首相の目の上のたんこぶとなっている。公明党の山口那津男代表も演説で「議論が成熟していないなかで96条だけを変えるのは国民になじまない」と言っている。あくまで慎重だ。

 ぼくは共産党に投票することはあるが、党員ではないから、機関紙『しんぶん赤旗』は購読してない。ところがなんということだ、この共産党の新聞のインタビューを自民党の元幹事長で重鎮の古賀誠が受けて、「96条改正は認めることはできない。絶対にやるべきではない」と答えたという。古賀は安倍嫌いの上に反戦平和志向者である。しかし、いまや自民党は安倍首相のポチばかり、党内の平和勢力が立ちあがっての論争や闘争はない。

 その自民党内のポチ化がこわい。いつか来た道へなだれ込む危険性をはらんでいる。このところ、小林教授の96条裏口入学論がきいたのか、アメリカ議会の右翼呼ばわりがこたえたのか、参院選に不利と見たのか、首相の改憲論はちょっとなりをひそめている感じがある。しかし寝たふりに騙されてはいけない。いまこそ日本人だけで310万人が死んだ太平洋戦争の戦記を読んで考えよう。

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