ペン森通信
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生きているることが夢のような
 18期生の内定した男子3人と計4人で伊豆高原のコテージに19,20日1泊の小さな旅をしてきた。6月は8,9日に女子とまったく同じところで待ち合わせ、同じ昼食を楽しみ同じコテージに宿泊する。男子組は前日の19日、うち一人が寝技中心の旧帝大柔道の伝統を守っている東大柔道部の出身者である。かれの希望で三島市の井上靖文学館へも足を伸ばした。井上は金沢の第四高等学校に学んで京大に進むが、文学と柔道に明けくれた。

 井上靖文学館では井上の代表作のひとつ『天平の甍』の展示をやっていた。三島のこの地はこれまた代表作のひとつ『あすなろ物語』とゆかりの地である。井上は幼少期伊豆の湯ヶ島、中学時代の三島、沼津、高校時代の金沢を転々とする。これは自伝三部作『白番場』『夏草冬濤』『北の海』にくわしい。井上の作品は幅広く、山脈にたとえられるが、ぼくはシルクロード西域もの『蒼き狼』『楼蘭』と歴史小説『おろしや国酔夢譚』が好きだ。

 ぼくは内定者たちに『おろしや国酔夢譚』を読めと勧めておいた。これは吉村昭の『大国屋光太夫』と同じ素材だから比べてみると一層おもしろいだろう。これを歴史小説の範疇に入れるには、いささか違和感があるが、漂流ものするのはもっと違和感がある。言ってみればロシア ものだ。東大柔道部出のかれは管内で販売していた文庫本を何冊か購入したが、「おろしや国酔夢譚」は手にしてなかった。『天平の甍』も購入したようだ。

『天平の甍』は日本の奈良時代、中国では唐の時代を背景に描き、第九次遣唐使が鑑真和上にようやく訪ねつき、鑑真が日本渡航を5度失敗して6度目に成功して、日本に根付く様子を書いている。鑑真は75歳で没するが、当時は数えの年齢だからちょうどぼくと同じ歳まで生きたことになる。ぼくは75歳で死亡する予定ではないが、ペン森卒業生たちが75歳後期高齢者入りを祝って6月29日土曜日に大パーティーを開催してくれる。

この年齢になってパーティーの主役になるのを生の区切りに受け止めて、自分では生前葬になるのではないかと喜んでいる。生きているうちに生かしてくれたひとたちに一言、お礼を言っておきたい。なお生き続けるとすれば、第一回告別式にして、次を第二回にすればすむ。いま憲法改訂や右傾がらみで戦記もの『父たちの戦記』を読んで戦争と生を考えているが、ぼくの前の世代はなんとと戦地で餓死病死をしたひとが多かったことだろう。

戦争末期のころ国民小学校1年生だったし、校舎は兵隊に占領されていたから、戦争の非人間性はかすかにわかる。憲法を変えれば、即戦争に結びつくものではないが、先の戦争の実相を知っておくことは無駄なことではない。ぼくは戦後の世代に属するが、こんなに恵まれた日本人は歴史上、いただろうかと思う。ずっと平和だった。いま日本には平和ですごしてきた後ろめたさみたいな空気があるように感じる。平和でどこが悪いんだ。

 奈良時代中国へ船で渡る派唐使は決死の覚悟だったが、それに比べて現代では、と恵まれた文明に感謝したい。夏は現役時代いい原爆記事が書けなかった長崎行きを考えている。行っておきたいところに生きているうちに、という気持ちもつよい。大災害を別にして、戦争もなく人生を逆算して考え計画することができる現代人は、夢のような時代に生きている。
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