ペン森通信
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

浮かれて解体する日本国
あの有名な論客、内田樹が朝日のオピニオン欄に8日「壊れゆく日本という国」という題の一文を寄せていた。見出しは左右に1本ずつあり右は「『企業利益は国の利益』国民に犠牲を迫る詭弁 政権与党が後押し」、もう1本の左は「国民国家の末期を 官僚もメディアも うれしげに見ている」。先週、毎日の夕刊に内田の「アベノミクスは日本全体を株式会社にしようとしている」という短いコラムが載っていたが、その詳細を知る寄稿である。

内田は断言する。「国民国家としての日本」が解体過程に入った、と。国民国家という統治システムは国際政治の基本単位である。それがいま、ゆっくりとしかし確実に解体局面に入っている、という。TPP参加も解体現象の一つかもしれない。ぼくは、TPPは江戸から明治にかけての開国と同じだと考え、賛成の立場だったが、安倍政権の極端な日米同盟優先主義に待てよと考え直し、じつは中国包囲網の安全保障論と聞いて疑念がわいた。

元大蔵官僚の榊原英資が月刊文藝春秋5月号で反対論をぶちあげていたが、その影響もあって、反対派に鞍替えしたのである。榊原は、安倍総理は日米関係重視に偏り、バスに乗り遅れるなと飛び乗った。日本から要求するものは自動車の関税引き下げくらいで、ほとんどなにもない、これは将来に禍根を残す、と言い切っている。安倍の日米同盟重視に憤慨しているのだ。その安倍は米議会報告で「強硬なナショナリスト」と懸念されている。

内田によると、政府が「国民以外のもの」の利害を国民よりも優先するようになってきた。「国民以外のもの」とは、端的にはグローバル企業のことである。起業したのは日本国内で、創業者は日本人であるが、いまでは株主も経営者も従業員も多国籍であり生産拠点も国内に限定されない「無国籍企業」のことである。すべては国際競争に生き残るためである。なるほど、トヨタやソニーだけでなく、ゼネコンもコンビニもユニクロもそうだ

国際競争力のある企業を支援するために国民は低賃金を受け容れ、地域経済の崩壊を受け容れ、英語の社内公用語化を受け容れ、サービス残業を受け容れ、消費増税を受け容れ、TPPによる農林水産業の壊滅を受け容れ、原発再稼働を受け容れるべきだ、と。マスコミ入社試験のGDテーマにしてもいい項目が並んでいるが、国際競争力はそれほど錦の御旗かと、内田に共感したい。日本に蔓延する息苦しさの遠因は国際競争力かもしれない。

国際競争力というスローガンが国民的一体感を醸成しているが、ぼくは競争力と聞いただけで息苦しい。安倍の中韓に対する歴史認識上の挑発は相手から見れば北朝鮮なみだろうが、これも結果として国民的一体感に結びつくのだろう。内田は言う。「私たちの国では、国民国家の解体を推し進める人たちが政権の要路にあって国政の舵を取っている」。親米路線が即日本の解体に直結はするまいが、年間100万人の人口減日本は微妙に壊れゆく。

自給自足をしてなんの不満もなく暮らしているひとたちは、精神的に豊かでも市場経済の尺度では貧窮の民である。日本はあり余るほど豊かで、村上龍の言を借りると、なんでも手に入るが希望だけがない。内田は、日本の政権与党は米国の超富裕層の資産を増大させることに政治生命をかけているとも指摘する。株だの円安だの、ぼくら年金生活者の100円ショップ愛好者には迷惑だ。浮かれすぎじゃないの。
スポンサーサイト

この記事に対するコメント

この記事に対するコメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する


この記事に対するトラックバック
トラックバックURL
http://penmori2007.blog108.fc2.com/tb.php/540-983a9ad5
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

瀬下先生

Author:瀬下先生
FC2ブログへようこそ!





最近の記事



最近のコメント



最近のトラックバック



月別アーカイブ



カテゴリー



ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる



ブログ内検索



RSSフィード



リンク

このブログをリンクに追加する





上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。