ペン森通信
復興か東京オリンピックか
大震災から2年、東京では直下型地震がいつきてもおかしくないと言われながら、安全・安心を強調する矛盾した行事が行われた。2020年の五輪開催に立候補している東京でのIOC評価委員会による現地調査に対するプレゼンテーションである。あたかも2年前が遠い昔に去ったかのような東京の振る舞いであった。現地調査の最中に東京で感じる地震があったらもてなしが無駄になると、猪瀬知事をはじめ関係者は気をもんでいただろう。

 神保町の歩道にもオリンピック招致の旗が並んでいる。「2020年オリンピック・パラリンピックを日本で!」と、東京いう表現を微妙に避けた旗だ。作成の際、「東京」と競技地域を限定するか、日本にという表現にするか、かなり迷った様子がうかがえる。東京オリンピックといった場合、東北の被災地は無視されてしまう。それでいて、2020年オリンピックは被災地支援も兼ねており無視はしてない、と強調する関係者もいる。

 実際、東京オリンピックと開催地を限定した場合の世論調査では肝心の「東京」が不評だった。被災地でも競技をやれ、という意見もあったのである。そのことを慮っての都内に飾られた招致旗なのだろう。ところが、首相官邸のフェイスブックによると、安倍首相の言葉として「東京でのオリンピック開催は私の長年の夢なんです」と。東京以外はまるで視野に入ってない。「復興五輪」はいつの間にかはっきり影を潜め、封印された。

 評価委員会は4日間の現地調査を7日に終えた。弱点だった都民の支持率が70%に上昇したそうで、すっかり東京誘致は上げ潮ムードに変わった。昨年2月にIOCに提出した一次選考むけ申請ファイルには「スポーツの持つ大きな力が、いかに困難に直面した人々を励まし、勇気づけられるか、を世界に示すことになる」と大会ビジョンをうたった(8日付毎日新聞)。大震災をかなり意識していたのだが、いまはその意識が逆に働いている。

 できるだけ、地震や津波や原発事故には触れないようにしようという意図が明らかに見える。つまり被災地は負の印象を与えるものとして厄介者扱いにされ、大震災からの復興というスローガンは消えてなくなった。石原前都知事同様、猪瀬知事も東京オリンピック誘致に夢中で、いったい都政に目配りしているのか、といいたいほどテンションが上がっている。4日間の東京視察は高評価をえた、とテレビ報道は雀躍としているがこれが怖い。

 ぼくは復興を優先すべきでオリンピックは復興がかなってからでいい、という考えだから、この流れからいくと、2020年オリンピック反対の立場をとる日本人は非国民扱いされかねない。復興はどの時点でそれを宣言するか、という難しい問題がひかえる。安倍首相が復興は国の第一の使命というなら、オリンピック誘致に傾倒するあまり、被災地や被災者のことを邪魔者扱いしてはいけない。優先順位を間違えているのではないのか。

 首相の夢がオリンピックを東京でというのも夢がない。1000年に一度の大災害に遭い、2万人近い死者行方不明者を出した民に救済の手を差し伸べ、幸せな生活に戻ってもらうのが、国民を預かる首相の一番の夢であるべきだろう。
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