ペン森通信
日本はいま、何時か
年末年始は11連休と豪勢に休み、きのう始業したが、まだ休み足りない感じ。休みの最初のころは、さて新潟へ雪を見に行こうかとか、岡山から四国へ渡ろうかとか、妄想がふくらんだが、なに遠出はせずほとんどひきこもり状態。兆年の疲れが蓄積していたようだ。テレビや小説やDVDに寝転んで接し、お参りに大国魂神社と深大寺へ行って旅友との旅行きの願をかけただけの11連休。最も笑った娯楽はにっかつロマンポルノDVD『快楽学園 禁じられた遊び』だった。

このポルノ映画の監督は鬼才、神代辰巳である。神代を知っている若者は多いと思うが、60年代を中心に90年代まで数々の映画やテレビドラマで名をはせた。石川達三の『青春の蹉跌』、谷崎潤一郎の『鍵』などの文芸路線も手がけた。ぼくは以前『鍵』は映画をみているが、『青春の蹉跌』は、小説を読んだだけだ。神代作品では『宵待草』もよく知られているのに、ぼくはみたことがない。これもまた青春のアンニュイを漂わせる映画らしい。

これもまた、というのは小説『青春の蹉跌』が青春のアンニュイだからである。石川には『僕たちの失敗』という小説もあるが、この歪んだ青春小説が映画化されたかどうかは知らない。かつて石川作品をお嬢さま清純系の女子に勧めたところ、彼女はすっかり石川小説にはまってしまった。石川小説は嫌な気分のまま最後まで読んでしまうから、読後感の気分が悪い。石川ファンになった彼女もぼくは嫌いになった。彼女は歪んだ清純派だった。人間には表と裏がある。

昔のことを思い出して話がそれたが、11連休が神代作品を見直すきっかけになったのは収穫。これでTSUTAYAに行く楽しみがますますふえた。人気絶頂の園子温監督もにっかつロマンポルノを撮っているが、奥深い味わいや時代投影や着想ではやはり神代ワールドだ。ぼくにとって、神代ポルノは妄想に点火してくれるから、夢世界が無限にひろがり、70代半ばのたそがれ男にとっての回春映画だ。青春ただなかの20代男子には単なるエロ映画だろうけど。

といって、ぼくは11連休の間中、ただポルノにニヤニヤしていたわけではない。吉村昭『深海の使者』、山本周五郎『青べか物語』を読みなおした。若いころ読了した本だからだろう、記憶にある記述はほんの少し。かくも記憶はさびついてゆくのかと、またまた老齢の悲哀を再認識した。真面目な本も手にした。『この国はどこで間違えたのか』。沖縄と福島から見えた日本、という副題がついている。毎日新聞から沖縄タイムスに転じた記者のインタビュー集。

沖縄タイムスに連載されたインタビューをまとめた本である。インタビューに応じて語っている碩学は内田樹、小熊英二、赤沼博、佐藤栄佐久、佐野眞一、清水修二、広井良典、辺見庸。この八人全員を碩学としてくくるには抵抗のある向きもあろうがここでは敢えて、沖縄と福島原発を通して日本を語るにふさわしい権威としてくくった。元福島県知事、佐藤栄佐久は国に立ち向かう姿勢が明快だから、道州制がいわれるいま、意見は新鮮である。

日本は政権が交代して、デフレ脱却・景気浮揚の大合唱が起こっているが、これは夜明けのなかった民主党政権へのリアクションだ。自民党政権の安倍ノミクスが失敗すれば、またリアクションに見舞われる。今週の作文題のひとつは「日本はいま、何時か」。さて、若者は何時とみているのだろうか。

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