ペン森通信
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老人はまたモテ期に突入した
自宅から駅までの途中、公園の外周路のアスファルトの路上にセミの死骸が点々と落ちている。ご存じのようにセミは幼虫時代の6,7年間地中にいる。地上にでて羽化して1週間程度しか生きていない。というのは俗説らしく、案外昆虫の中では長命という。成虫になって1週間どころか1カ月という説もある。ぼくは俗説を信じてきたから、アスファルトの上の死骸をみると、哀れをもよおし、翻ってわが身の幸せと重ねてしまう。

といって、老いさらばえたぼくが亡骸をわが身に照らして自暴自棄になったわけではない。セミが土ではなく、アスファルトの上に死体をさらし、中には踏みつけられてぐちゃぐちゃになったものも多く、もはや土に還って分解同化することはかなわないのが哀しい。日本は土葬が禁止され火葬だが、ぼくは火葬のあと骨粉か骨壺を樹木の下の土中に埋めてもらえればうれしい。むかし恵山人と号していたから、号からして樹木葬が似合う。

ぼくの死後はまさに草葉の陰だ。辞世集などを読むと、8,9割が振り返るとわが人生は夢のようだったといっている。人生の終末を迎えると長年の恨みや怨念や屈折が消え、幸福だった思い出だけが残るのであろうか。ぼくはラテン系の気質なので粘着性に乏しく、どちらかといえば気の多い、浮気性のところがある。いろんなことに熱しやすいが、熱はあまり長持ちしない。ぼくの故郷ではこのようなタイプを「やかんたぎり」といった。

やかんの水みたいにすぐ沸騰するが冷めるのも早い、という意味だ。ぼくの人生は残り少ないけど、まだ先がある。渡辺淳一はエッセーで書いている「70代、これはなってみて改めてわかることだが、すさまじい世代である。すべて下るだけ。これも無理かと、不可能なことが増えるばかり。努力しても無駄。しかし、とてつもない発想にとりつかれ、動き出すことがある。激しい恋に溺れたり」。激しい行為に熱中する70代が多い、と。

きのうペン森女子に聞いた。「浮気というのは具体的にどういうこと?」「そりゃ、やったかどうかでしょ。やれば浮気ですよ」。元医師でもある渡辺淳一によれば、60代後半から70代の前半にかけて、男性は勃起しなくなる。不能になる。自慢じゃないが、まさにぼくに当てはまる。ならばぼくにとっては、浮気はあり得ないのだ。ときには浮気してみたいと思うことがあるが、それは実体のない妄想の世界にしかすぎないのである。

すでに野獣性が喪失した男性失格者ではあっても、渡辺がいうようにとてつもない発想も発芽している。肉体的に退化したとはいえ、感情は豊かに脈打っているから、人生が短命な蝉のように感じているわけではない。もしかしたら「モテ期」にまた突入したのではと錯覚したくなるほどだ。なにも起こらないと安心してか、女子からの旅同行依頼が少なくない。はた目にも不釣り合いなかわいい女子とカップルの、浮気老人、と思われたい。

男が性機能を失うとはどういうことか、その内面を渡辺淳一は地方紙連載中の「愛 ふたたび」で書こうとしている。ぼくにはもう、官能快楽のふたたびがないのはせつないが、その代わり女子との旅ふたたびはまだある。辞世に残したい夢のような人生です。


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