ペン森通信
毎日の物語がおもしろい
4月の新年度から新聞各紙は紙面刷新をしたはずだが、朝日と毎日を購読している身にとって、朝日に横書きが増えた、毎日に長尺読み物が登場したことだけはわかった。朝日の横書きは新年早々からだから、4月刷新ではない。横書きは教科書に多いから、いかにも教科書的な朝日らしい。中身は、危うし民主主義、といった現代の限界を書いているようだ。だが、横書きはスピードを持って読めない。だから思索する、というわけでもない。

ぼくが注目しているのは毎日の日曜日1面(1行10字)と4面全部(1行20字)を贅沢に使ったストーリー。ぼくは朝日が教科書なら毎日は物語、読売は事典と決めつけているが、毎日の新企画はいかにも物語、だ。ダルビッシュからはじまって先週は橋下徹の弁護士研修時代、今週は被災地津波直後の救助の自衛隊。当事者あるいは周辺の人物から取材して、取り上げる主人公を立体的に浮かび上がらせるというストーリー展開。

 4面左上に執筆記者が写真入りで紹介されている。わが社にはこんな長文をこなす記者がいるんだよ、と自慢しているようにも見えるが、実際、よくこなして長文を書くもんだなあ、と感心する。救助自衛隊の筆者は防衛大学の出身で、サンデー毎日の記者経験もあると添えられていた。新聞記者は短文の型どおりの定型に慣れるよう訓練されるから、長文には苦労する、その点、週刊誌ライターを経ていれば、長文もそんなに苦にならない。

 ぼくも新聞と週刊誌の仕事に就いたが、週刊誌のライター経験はない。はじめから他人の原稿を見る立場のデスクだった。その代わり、ひとの原稿を見る目と企画の勘どころはいくらかわかる、と思う。記者が原稿という場合、内容は記事、レポート、ガイド文、紀行文、人物紹介、書評とさまざまだが、書くひとによって文体も特徴がある。新聞記者の文章が総じてそっけないのは、形容詞や副詞を排除した定型文慣れしているからだ。

 しかし、しばしば読み手の感情に訴えるのは形容詞や副詞のまざった主観表現の文章が多い。新聞文章は事実の客観的な表現が生命だといわれるが、ぼくは考えがちょっと違う。どの事実をとりあげるか、という選択の時点ですでに主観が働いている。強調すべきポイントをはっきりさせるべきだという論は主観を明示せよ、というに等しい。強調のためには形容詞や副詞の節度ある使い方は効果的だ。だが、この節度ある使い方がむずかしい。

 とくに手紙は夜に書くもんではない。感情過多状態になっているからだ。節度を失った状態にある、といってもいい。でも、女性にだすラブレターは夜にしたためたほうがいいかもしれない。男性よりも感情や感受性が豊かな女性は形容詞や副詞の多い、情緒表現に流されやすい面があるからだ。いまどき、ラブレターを書く若者はいないので、詮ないが。ぼくは学生時代ラブレターを何人かに書いたが、長文のわりに情緒が微量すぎたんだね。

 さて、毎日はつぎの日曜日にどのようなストーリーを読ませてくれるのであろうか。あのひとはいま的な物語もほしいね。主観描写の小津映画に欠かせなかった永遠の処女、原節子には性欲はなかったのか。小泉純一郎が日本を料理する、とか早稲田政経のゼミ仲間がこきおろす野田総理とか。これくらいの主観があれば、毎日物語はもっとおもしろくなるよ。

 


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まとめteみた.【毎日の物語がおもしろい】

4月の新年度から新聞各紙は紙面刷新をしたはずだが、朝日と毎日を購読している身にとって、朝日に横書きが増えた、毎日に長尺読み物が登場したことだけはわかった。朝日の横書きは新年早々からだから、4月刷新ではない。横書きは教科書に多いから、いかにも教科書的な朝日... まとめwoネタ速suru【2012/04/24 17:02】

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