ペン森通信
記憶づくりの旅
 なんということだ、孫娘と仙台・石巻の被災地を行くふたり旅は猛反発をくらって、行き先変更やむなしとなった。松本→飛騨高山→金沢に変えた。いずれもぼくにとっては数回行っているなじみの観光地である。高山はほぼ2年おきに訪れていて、車を利用しないのは今回がはじめてだ。マイカーを活用していたころは、1日で金沢往復や富山の魚津往復をしたこともあった。高山は松本から上高地のわきを通り、平湯温泉を抜けて行くのが常。

 松本は若い記者時代、新宿から夜汽車に乗って早朝に着いたことが何回かあった。新宿で飲んで飲み足りないとき、夜汽車に酒を持ち込んで飲みつづけていたのである。乗客には山登りの男たちが多かったように思う。松本に着いたら、朝の早い駅の食堂で朝食をとり、外に出て街を散歩して、地元グループのラジオ体操にまざって、体にしみついた酒の匂いを消そうと努めた。そして上り電車に乗って、昼すぎには何食わぬ顔で仕事に就いた。

 まことにいい加減な昭和を経験したから、ぼくはいまでもいい加減だ。いい加減な陽気な男は平成のいまはほとんど見かけなくなった。時代とともに世相も変わり、人も変わって、ぼくは歳もとってゆく。そもそも、被災地ふたり旅ができなくなったのはぼくが老人になり、いざという場面でぼくが孫娘を護れない恐れがある、と家族が考えているからだ。たしかに1日で金沢往復は疲れてしまい、もう不可能だろう。居眠り運転がこわい。

 で、月曜22日に出発して24日に帰着予定。松本でイタリアンを食べ、高山でラーメンと牛肉を食し、金沢で典雅な加賀料理を堪能するつもりだ。飲む、食う。楽しみはこれしかない。高山ラーメンは細麺しょうゆ味、昔のチャルメララーメンに似ているが、ぼくはあまりうまいとは思わなかった。それでもうどんそばよりもいいだろう。うまいと思わなかったのは、細麺は好きだが出汁の記憶がなく、頭に付着してないからだ。

 まあ老人のぼくはともかく、ぼくより50年も60年も長く生きる可能性のある孫娘の忘れ得ぬ旅の思い出になればいい。ぼくの経験では、だれと行ってなにを食べたかが旅の記憶を形成する大きな要素である。ひとり旅のローカル線乗り継ぎは、その点まったく味気ない。わびしいだけのホームの立ち食いそばの比較をしても詮ない。さて、ぼくはあす20日から28日まで休む。この休みは孫娘の思い出づくりの旅のために有効に使いたい。

 


 
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