ペン森通信
過ぎたるは及ばざるが如し
 中国はすごい。追突高速列車の計器類のある運転席付近を重機で粉砕して現場の畑に埋め、批判多く一転して掘りかえした。原因究明くそくらえ。わずか1日半、あっというまに運転を再開して、列車を走らせるその乱暴な迅速さは慎重な日本人には驚嘆ものだ。もし福島のような原発事故が起こったら、直接の関係者をくびにし、原発施設そのものに上から土かコンクリートをかぶせて覆い尽くして、ほとんど瞬時に収束したにちがいない。

 でも、やりすぎだね。高架からぶら下がっている車両の写真を見て、過ぎたるは及ばざるが如し、という先人の格言がとっさに浮かんだ。5年間で9000キロの新幹線をつくったんだってさ。ほんの10年前まで北京市内は自転車だらけだらけだったんだよ。行ったことはないけど、テレビで中国の女の子がそんなことを自嘲していた。内陸部では、労働力を生む女をさらう風習もあったらしい。映画『紅いコーリャン』じゃあるまいしね。

 要するに、中国には新幹線を安全に運行する人材も技術も蓄積もなかったということだね。なにごともバランス、頃合い、というものがあると思うよ。たとえばの話、原子力発電所も原爆の威力を知って、これを活用しようとした人類の欲望の結果できたのだろう。石油文明のシステムのなかで無理を重ねて、原発という人間が制御できないエネルギーをありがたがって使ってきた。ぼくらはその恩恵を享受してきた。子孫に申し訳ない。

日本にもリニア中央新幹線計画がある。南アルプスを貫通して東京――大阪を1時間で結ぶ、というばかばかしい浪費案だ。東京と大阪間が1時間といえば首都圏の通勤時間より少ない。以前「せまい日本そんなに急いでどこへ行く」という傑作交通標語があった。まして、この南アルプスルートは日本最大の活断層、中央構造線と糸井川・静岡構造線とが交錯する土地を通る。これにカネをかけるより、ローカル線をもっと整備してくれ。

 ぼくは人間が地球の浄化作用に適さない物質を使いはじめた時点から自然と人類のバランスが壊れたと考えている。土に同化しない農薬を便利がって使用したときから、農業は衰弱した。もっとも急増する人口をどう養うか、という大問題をわきにおいているがね。マルサスが人口論を発表した1798年の世界人口は9億人だったが、213年たった現在約70億人。人類は疫病と戦争で人口調節を繰り返してきたが、現代にはそれもない。

子孫を残さない同性結婚は、近代人類が編み出した人口抑制の方法論かもね。同性愛も同じく人口増の心配がないから、もっともっと活発になればいい。あるいは、ぼくのような機能果てた老人の女子好きという、バランスを欠く例もそれに類する神の知恵かもしれないよ。中国は人口13億4000万人、一人っ子政策では人口抑制もままならず、危険な新幹線で死者が増えることを内心、望んでいるのかもしれない、と勘ぐりたくなるね。

 物質文明の進展に人間が追いつかない現象は、ケータイやPCに対応できないぼくみたいな老人が示している。交通事故による死者数が3年連続で1万人を超えたときに読売が1961年に連載した「交通戦争」は車という凶器の実現に人間がついていけない事態を扱った。工場や車の排気ガス中の窒素酸化物や炭化水素が日光に反応した光化学スモッグ騒動は70年だった。日本でも環境破壊がすさまじかった。中国は日本のいつか来た道かも。

 

 
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