ペン森通信
愛と結婚のあいだ
 愛は必ず終わるが、結婚は終わらない。『愛は4年で終わる』という世界的ベストセラーがあるらしい。この手の本には興味がないから、その本の存在すら知らなかった。週刊朝日のコラム「40代からの大人の恋愛講座」に筆者の夫婦・家庭問題評論家、池内ひろ美が、4年は間違いである、と書いている。4年というのは、結婚後4年で離婚する夫婦が多い統計から読みとって唱えたものだ、愛が終わるのではなく、結婚が終わるのだ、と。

 池内は「愛は2年で終わる」と断言する。その理由は次週31日発売号で明確に説明すると宣言している。冒頭の「愛は必ず終わるが、結婚は終わらない」という文句はぼくのオリジナル。ぼくらじじばば夫婦のことを言っているのである。こないだ亡くなった長門裕之と南田洋子夫妻は、愛も結婚も継続してむつまじいように見えた。もっぱら認知症の老妻をかいがいしく介護する夫の長門の側だけから見て、美談として受け止められた。

 妻の南田洋子は、老醜をさらし、若い美貌の女優だったころのイメージが無残に壊れるのを許容していたのであろうか。公表諾否の認識もなかっただろうが、男のぼくだって、認知症になって仮に老人医療施設に入ったとしたら、だれにも顔を見せたくない。事前にその旨、家人にきびしく言っておくだろう。これまでの印象にゆがみが生じるとか、特段の理由はない。生き方の美学みたいなものである。静かに生命の灯が消えゆくのに任せたい。

 南田洋子は、はたして長門を芯から愛して結婚生活をつづけていたのだろうか、という疑問もわいてくる。長門は、稀代の女好きだったからだ。その点ではぼくもそうだし、男性一般の傾向と同じだが、「百人斬り」のうち「8割が有名女優」という好き者であった。自伝で、池内淳子、扇千景など実名をあげて関係があったことを暴露している。事実無根だと抗議を受けて謝り改訂版で修正するが、これじゃ妻も女優もたまったもんじゃない。

 ぼくは池内淳子のファンだった。池内は去年76歳で亡くなったが、老いてなお清楚だった晩年、テレビでは母親役の女優として活躍した。池内は20代に柳沢真一という俳優と結婚するが、わずか3カ月で離婚する。愛も結婚も3カ月しかもたなかった。愛は、ほんの1カ月もつづかなかったのかもしれない。2人がどういう経緯をへていっしょになったのか知るすべもないが、性愛的な愛情を内包する恋愛も一気に破綻したわけだ。

 「恋愛講座」の筆者によると、性愛的な愛情は結婚によって情緒的な愛情へと移行するそうだ。情緒的な愛とはいったいどういう内面の状態なのか、見当がつかない。性愛に飽きがきて、喜怒哀楽をぶつけるようになる、ということか。ゴルフは夫婦でラウンドするもんじゃない、といわれる。恋愛関係だったら嫌われないように細心の注意をはらってアドバイスするが、夫婦間には遠慮というものがないから喧嘩になる。これが情緒愛なのか。
 
 このブログで何回か書いたが、老人は恋愛をすると寿命がのびる。医学的に証明されている、らしい。老人夫婦は互いに恋愛感情をもっていないだろうから、この場合の恋愛とは妻や夫以外の男女に対する感情ということになる。しかし、せっかくの恋愛も2年で終わる。2年しかもたないのであれば、とっかえひっかえ、人生忙しい。つぎつぎに相手がいるのであれば、切りのない、そんな忙しさも味わってみたいもんだなあ。

スポンサーサイト

この記事に対するコメント

この記事に対するコメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する


この記事に対するトラックバック
トラックバックURL
http://penmori2007.blog108.fc2.com/tb.php/349-7585ab15
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

瀬下先生

Author:瀬下先生
FC2ブログへようこそ!





最近の記事



最近のコメント



最近のトラックバック



月別アーカイブ



カテゴリー



ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる



ブログ内検索



RSSフィード



リンク

このブログをリンクに追加する