ペン森通信
人事情報に強ければ飛ばされない
 4月は人事異動の月だ。ご承知のとおり、今年は大震災の影響でスムーズに異動ができないケースも多い。人事異動こそサラリーマンの最大の人生ドラマであるから、新人はどこに配属されるかで、まずドラマの洗礼を受ける。全国紙の記者は、たいてい全国いずれかの県庁所在地にある総局(朝日)や支局(読売、毎日)に行くことになる。NHK、共同通信、時事通信も同様。日経は大阪、名古屋などの大都市に赴任することもある。

 最初の赴任地が決まると、たとえば「秋田に飛ばされた」と表現するひともいる。飛ばされたという意味は左遷されたということだから、穏やかではない。まだなんの実績もないのに左遷されるわけがないのだ。年寄りからみて、若者の語法にはたびたび違和感を覚える。ペン森にいながら「あした、ペン森に行く?」なんて会話をかわしているのも困ったものだ、と思う。「あした来る?」と言ってくれよ。若者言葉には戸惑うことが多い。

 あの彼とあの彼女は付き合っているという場合の「付き合う」の意味も、年寄り世代と若者世代とは使用法が異なるようだ。以前、若い女性に「お付き合いしましよう」と迫られたことがある。ぼくは「セックス抜きならOKだよ」と答えた。いま振り返ると、あれは無駄なやせ我慢、あるいは格好づけだったが、「そんなのないですよ」と女性は離れていった。若いひとがいう付き合いは、セックスを伴う仲ということだ。

 ぼくは若い女性とたびたび温泉へ行って同室に宿泊したが、性的関係とは一切無縁である。一般的には男女が旅を共にして同室泊をするほど近い仲であれば「付き合う」という範疇にはいるのだろうが、ぼくはややこしい事態には踏み込むことがなかった。ほんと。よく芸能人の男女が同宿して、今度の芝居の相談に乗ってもらっていただけ、などと釈明するが相談だけで終わったとはだれも信じない。ぼくの場合は、飲んで酔って寝るだけ。

 さて、記者が異動すると、赴任先の上司がまともじゃない悲劇的なケースもおうおうにしてある。情緒不安定ですぐ怒鳴る。現場へ行く必要もないのに、なんでもかんでもとにかく行ってこい、と判断ができない。箸の上げ下ろしまで口をだして、小うるさい。原稿の直しがへたくそでかえって悪く直す。おかしなことを笑うと、そんなのおもしろくない、と他人の価値観を否定する。原稿の定型にこだわる。自分の失策を部下のせいにする。

 上司と気が合うかどうか、は運不運である。支局にいながら同僚に「あした支局に行く?」なんて聞いたのを上司が耳にしたら、言葉の使い方を知らない記者というレッテルを貼られ、それを繰りかえしていると飛ばされかねない。さらに「あの人の生きざま」などという間違った言葉づかいもやめたほうがいい。「死にざま」が唯一正しい、と信念を持った年配の上司も多い。上司はおおむね柔軟ではない、ということを知るのも処世だ。

 記者にとって最初の赴任地は第二の故郷だ。顧みれば、それほどなつかしい。はじめは友だちがいない。さびしくてたまらない。「同期」といえば、他社の同期入社をさす。記者クラブで終日、いっしょだから、自社の記者よりも親しくなる。女性記者の腹がふくらむことも多々ある。結婚相手が同業になるのも成り行き上当然。そして、強い記者は人生ドラマの人事ネタで特ダネを放つ。人事情報を嗅ぎつける記者は飛ばされない。
 
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