ペン森通信
ケータイカンニング浪人に未来あれ
大学入試投稿カンニング問題は仙台の予備校生の逮捕で落着したかに見える。こんな大事になるとは当の本人も思っていなかっただろう。まして逮捕されるとは、驚愕して恐怖に震えたにちがいない。カンニングで逮捕に至った例はたぶん、はじめてだ。本人は「1人で携帯電話を持ち込んで投稿した」と自供しているというが、ケータイ駆使だとすれば、4大学の入試会場の試験監督の目は、そろいもそろってどこについていたのだろう。

大学の教壇に立ったことのある体験からいえば、学生の挙動は大抵キャッチできるものだ。試験会場の監督はただ受験者の監視だけである。19歳の浪人生の投稿行為を見破れなかったという点には、やはり首をかしげざるをえない。見破れなかったとすれば、監督不行き届きで学内処分の対象にしなければ浪人生との釣り合いがとれない。見逃したばかりに浪人生は社会から追いつめられ、傷を負って生涯をすごさねばならなくなった。

既存メディアでは未成年は少年法によって実名は出さない。匿名で保護される。ところがネットでは浪人生の実名が早くも流通している。浪人生もネットの発信者は匿名だからバレないとたかをくくっていたのかもしれない。昔、親ばかの父親が女装して娘の試験を身代わり受験したケースもあった。これほど単純素朴ではないネットとはいえ、精密な鑑識ができ復元なども可能になっているから、ばかにしてはいけない。

72歳のぼくにとってネット社会は得体が知れず、複雑怪奇だ。だけど、このカンニングはメディアがこぞって報道するほどの大ニュースとも思えない。カンニングそのものは、じつに古典的なものだし、今回はIT技術を使った新手のカンニングだったにすぎない。あまりに大騒ぎするものだから、ぼくは腕時計かペンかボタンか眼鏡にカメラを仕掛けていて撮影し、学外の中継者に送信していたのでは、と複数犯説を唱えていた。

まだ真相がすべて明らかにされたわけではないが、どうやらケータイの活用というのは間違いなさそうだ。鳥越俊太郎も、みんなケータイと言っているが、ケータイじゃないよ、と強調していた。ぼくと同じようにスパイみたいな方法を想像していたのだろう。ぼくもマスコミに踊らされた1人だ。日本メディアの暴風雨のような報道は一向に改まる気配を見せないのが怖いところだ。新たな方法を考案した浪人生は知恵を別方向で発揮した。

カンニングできない問題を出題すれば、すべては解決する。例えばメディアとりわけ新聞が入社試験で課す作文のような、思考を基にした記述方式などもよい。記憶の再生産たる暗記だけで人間の成績を計りがちという受験のあり方がおかしい。思考力や漢字力の低下はペン森でも日々に感じるが、高校生からおよそ文章を書くという修練をしてこなかったのだから、当然といえば当然だ。大学入試にも文章執筆を取り入れてくれ。

 文章は読んで評価するほうの実力も試される。芥川賞や直木賞の選評は選考委員によってまちまちだし、評価は主観に左右されやすい。でもそれでもいいのでは、とぼくは思う。型にはまらない規格外の人間が合格するという楽しみがある。ペン森に大学でカンニンして1年を棒に振ったやつがいたが、規格外れのかれはいま、すごい記者に成長した。カンニング浪人もよい大人に成長してほしいものだ。




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