ペン森通信
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長いメールを書くとき
 「自称読書家はメールが長い」。角川文庫のしおりに言う。買ったばかりの重松清『哀愁的東京』のページに挟んであった。ぼくは自ら読書家と称したことはないが、本は好きだ。しかし、むずかしい本は避ける。書斎の書架には6000冊くらい蔵書が収まっているが、藤原書店、岩波書店、みすず書房発行のものはごく少ない。硬い内容は読みとおす知力がない。若いころは硬派本も読んだが、脳が硬くなるにつれ、哲学や宗教や思想や古典や歴史ものは吸収しなくなった。吸収したとしてもすぐ中身が消えてしまう。

 書斎の座卓にはだいぶ前に購入した『政権』(日本経済新聞社)がある。これは結構分厚いから、寝床や電車で読むには適してない。書斎は10畳なので椅子机も構えているが、その机の上にはシュテファン・ツヴァイクの未完の評伝大作『バルザック』(早川書房)が数年来、置いたままになっている。大量のページで字がびっしりと重いので、ツヴァイクの『ジョゼフ・フーシェ』に学生時代夢中になった身にしては、『バルザック』はちょっと手をつけただけであきらめた。残念ながら、消化できそうもない。

 バルザックと書いたら中国の文革映画『小さな中国のお針子』を突然、連想した。文化大革命が暴風となって吹き荒れた時代、2人の若者が山村に下放される。2人は同じく下放された先着のインテリが秘密裏に持ち込んでいたバルザックの小説を盗み、こっそり読んで西欧の文化に触れる。1人がその小説を、教育を受けてないかわいいお針子に読んで聞かせる。そのうち、読んで聞かせていた若者とお針子はやはり、デキてしまう。自立心が芽生えたお針子は村を出る。自然風景がこよなくきれいな、シンプルな物語の映画。

 中国映画といえば、ぜひ観たいと思って果たせないでいるのが『血祭りの朝』である。ぼくが好きなコロンビアのノーベル賞作家、ガルシア・マルケス『予告された殺人の記録』を映画化したものだ。新聞記者マルケスの精緻な、おどろおどろしい饒舌表現がたまらない。カポーティーの『冷血』よりも傑作だと思う。結婚初夜、新婦が処女でなかったため新郎は新婦の相手を探り出して殺害を企む。村人の全員がそのことを知るが殺される予定の本人だけが知らない。この因習物語の中国映画DVDはどこにあるのだろうか。

 ぼくは中国映画DVDをけっこう楽しんでいる。『山の郵便配達』『あの子を探して』『活きる』『紅いコーリャン』『初恋の来た道』『長江哀歌』。みんなすばらしい。女子大で授業をもっていたころ、ビデオをよく教材に使ったが、『あの子を探して』『活きる』『紅いコーリャン』の国際映画祭受賞チャン・イーモウ監督作品は家族にも勧めた。イーモウ監督は北京五輪開会式の総指揮をとった巨匠。中国の黒沢明である。圧倒的な映像美のイーモウ映画をぜひご覧あれ。どこかおおらかなのは、広大な国土の反映かな。

 メールのことを書く予定だったこのブログだが、頭が中国映画に飛び火してとんでもないことになった。ごめんよ、かんべんよ。ぼくのメールはそっけないくらい短い。ときどき長いメールになる場合があるが、それは特別に長文が必要と感じた相手に限られる。あるいは感情が昂じているときや情熱が昂じる相手に宛てるとき。そして、このブログのように最初、予想もしなかった方向へ突っ走ったとき。

 

 

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