ペン森通信
ウィキリークスとシー・シェパード
  内部告発サイト、ウィキリークスの創設者が拘束された。スウェーデンから強姦容疑で国際手配されていたが、強姦で国際手配とは裏になんらかの政治的意図が働いていただろう。権力の機密をさぐって暴くのがメディアの仕事であり、責任でもあるが、ウィキリークスに対するメディアの態度は当惑気味だ。とくに朝日はどう扱ったらいいのか、態度を決めかねているようで、12月8日現在全国紙では唯一、この問題を社説で書いてない。このような内部情報の告発は、尖閣ビデオや極秘のはずの警視庁公安情報の流出など今年になって、いきなり目立ってきた。まさにネット社会ならではの現象である。

 ウィキリークスに憤ったところで、無意味だとぼくは思う。内部になにかの理由で機密を公開したいという意思をもった人間がいるかぎり、情報は外に漏れるだろう。漏らしたくない情報を抱えている機関はいかに隠し通すかの知恵をしぼればいいのである。ウィキリークスの件は米政府が国益を損ねると大憤激したが、なにが国益を損ねたかは判然としない。遠くもない将来、ネット社会初期にはこんな騒ぎもあった、と笑い話になっている可能性が大きい。同じような騒動はこれから繰り返されるにちがいない。いまだけの現象ではなく、時代の流れを反映して生じた現象だからだ。 

 拘束されたウィキリークスに関するニュースをみていたら、反捕鯨のシー・シェパードを連想した。シー・シェパードのテロ的な行動に対してオーストラリアの国民はやんやの喝采をして英雄視していると報じられたが、なにあの国民は国中でカンガルーを食べる。
しっぽの煮込みスープ、マリネ、ステーキなど調理法も発達している。カンガルーを殺して食べるような野蛮はやめろ、と乗り込んで行って抗議したらどうなるんだろう。でも悔しいかな、脂肪分の少ないカンガルー肉は牛や豚に比べてコレステロールも少ない健康食品だという。かの国の心臓病財団は健康維持のために大いに食べろ、と勧めている。

 日本でもカンガルー輸入肉が食べられるが味は、なんとクジラとそっくりらしい。調査捕鯨ですら欧米から目の敵にされる日本だが、日本人がクジラを日常的に食するようになったのは敗戦時の食糧難から商業捕鯨が禁止された1987までの40年間だ。明治時代各地に解体場ができたとき、反対運動が起こり、青森県の三戸(現八戸市)では1911年、地元民が押しかけ解体場を焼き払ってしまった。クジラを獲ると血で海が穢れ、漁ができなくなる、という理由からだった。ぼくも40年代、タケリ(雄性器)、タマ(睾丸)、コブクロ(子宮)こそ食べなかったが、美味な尾のみは刺身でよく食べた。

 以上、カンガルー、クジラに関しては『世界奇食大全』(杉浦幸徳/文春新書)をかなり食いちらした。この本は買ったことさえ憶えてなかったが、本棚から引っこ抜いて電車内で読んだら、作文ネタを二つ見つけたという副産物もあった。小気味よい珍書である。複雑極まる歴史の深さと文化の多様性を知るには絶好の本。ウィキリークスに対するパニックやシー・シェパードの偏狭な思考がばかみたいに感じられる。





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