ペン森通信
女でしか男は変われない
 「金持ちでも不幸、貧乏でも幸せ」という特集を週刊現代(11・6号)がやっている。ぼくは年金生活者だから金持ちではない。年金生活者でも営々と預貯金をして、けっこうな金持ちが多く、この貯蔵金をいかに引き出すかということを政府はねらっているが、年金老人はその手にのらない。いままで国にだまされてきた経験に懲りているのだろう、抱え込んだ金は決して離そうとしない。その点、ぼくは年収300万円、ローンも完済して戸建ての持ち家も所有しているし、貧乏ではないかもしれないが、金持ちではない。

 ぼくは蓄えた金もない代わり、貧乏でも幸せの部類にはいるだろう。まもなく72歳になるが、日々若い男女の大学生に囲まれて、大学教授でも弁護士でも議員でもないのに、先生、先生と慕われて?親しく触れ合っている。ぼくは、転職先の出版社の役員にはなったが、そこも56歳で辞めて、記者体験を活用して論作文添削教室を開いた。先日開設15周年のパーティを終えたばかりだが、まあ自由勝手な第三の人生を送っているといえる。第三というのは新聞記者が第一、出版編集者が第二だから、である。

 76歳の性愛作家、渡辺淳一の『孤舟』が評判だ。22日の毎日夕刊にインタビューが載っていた。大手広告代理店の役員を経て定年になった団塊の世代が、自由気ままな第二の人生を夢見るが、待っていたのはどんよりとした退屈な日々。「川からぽつんと小さな舟が漂っている」というイメージでこの題名がつけられた。医者でもある渡辺は言う「人間は生きがいがなくなると急速に病気になる」。では男はなんによって救われるか。「恋愛なんだ。女でしか男は変われない」。妻では得られないトキメキが最高の処方らしい。

 老作家は、顔色はツヤツヤ、血行もすこぶるよさそう。今恋愛中で?
「もちろん!」
 小説みたいに20代女性?
「もっと上だけどね」
 京都へお忍び小旅行も?
「ああ、やってるよ」

 地位もなにもなく、ひとりの男に立ち返った小説の団塊男は、デートクラブで27歳の女性と知り合い、デートを重ね京都へ旅する。なんとも羨ましい、と羨望する向きもあるだろう。その点、ぼくは主人公をうらやましいとは思わない。ぼく自身がそれ以上の幸運に恵まれている。あるいは渡辺老作家よりも、初々しい20代女性がそばにいる環境にあると自慢してもいい。そのへんについての詳しいことは、ここでは避けるが、きょうも男子学生が言うには、先生ほど幸福な老人は知らない、と。

 ぼくは貧乏だが、心は貧乏ではない。みずみずしい女子のおかげで、ぼくも心の鮮度が保てているのでは、と思う。豊かな精神にくらべ、肉体方面は底知れぬほど貧乏だなあ。幸福でもせつないよお。
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