ペン森通信
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「本田空気」がW杯の最大効用
 だれが知ろうか、ぼくは半世紀以上も前からサッカー好きである。高校時代、母校の試合をただ1人応援していた。ぼくの出身校は純然たる受験校で当然、野球もラグビーもサッカーも弱かった。ぼくの在学中、サッカーだけは県大会の上位にまで勝ち進み、まあまあの実力だった。土埃の舞うグランドでわが高校は執拗にサイドからクロスを上げる攻撃を繰り返し、それがときときどき決まった。ぼくはサイドラインのそばに立って、声援をあげるでもなく地味に試合展開を見守っていた。どたどたと鈍い音をたてて目の前のグランドを駆けるクラスメートの足音は耳が憶えている。

 どの放送局もW杯報道がすごいが、Jリーグができる前も前、テレビ東京を東京12チャンネルと呼んでいたころ、12チャンネルだけが土か日の午後6時からヨーロッパのサッカー試合をビデオ放映していた。解説はのちに日本サッカー協会の最高顧問に就いている歯切れのいい美声の岡野俊一郎氏。岡野氏は1968年メキシコ五輪で銀メダルに輝いた日本サッカーチームのコーチだった。五輪の銀獲得で国中が沸騰したかというと、岡田ジャパンの予選リーグ突破の騒ぎに比べて、そうでもなかった。今回にわかサッカーファンになったひとも多いと思われ、日本代表の敗北によって急に興味を失うひとが少なくないのではないか。

 ひとが興奮して盛り上がると、身をひいて斜にかまえるのが、昔からのぼくの性格。曲がった性格かもしれないが、大勢に同調迎合せず、山本七平が鋭く指摘した「『空気』の研究」の「空気」に流され染まる傾向はあまりないと考えている。みんなが一定の方向に向かっていき、理屈では止めようもない全体の抵抗なき奔流、が「空気」である。今回のW杯では日本はもうゲームできない。それをきっかけで熱狂が明らかに潮の引くような状態になったら、「空気」に支配された部分があったといえるだろう。政策は変わってないのに民主党の支持率がV字回復したのも、「空気」がかかわっているにちがいない。

 それでも、日本代表の活躍で日本中が湧いたのは、未来に希望がなく、どんよりした日本にいっときの晴れ間をつくってくれたからだ。ガス抜きの効果はあった。テレビを通じての印象だが、興奮して燃えたのは日本では他国よりも圧倒的に若者が多かったのではあるまいか。高校野球は高校生の不良化防止にかなり貢献した一面があった。高校球児の不良行為に厳しく対処してきて、体格のいい欲望旺盛な青少年の暴発を抑制してきた。サッカーは選手ではなく、フーリガンと呼ばれる暴徒的なファンが警戒され、チームの周辺が騒がしい。デンマーク戦のあと渋谷にあふれた若者は「空気」に酔っていた。

 ビッグマウスと称される本田圭佑は、ぼく好みの選手。1人でヨーロッパに渡った前向きの勇気と優しさを隠した肉食性は大したものだ。メディアはこぞって持ち上げ「本田空気」を醸成し拡大しているが、それに接した内向きの日本男子が喝を感じて発奮してくれれば、それがなにより日本にとってW杯の効用である。







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