ペン森通信
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ふたたび青春の思考を
  にわかに青春をしたくなった。自宅の2階ベランダの隅から、葉アリが大量に飛び立っていくさまを家人が見た。葉アリはシロアリの羽化したもので、5月ごろの快晴の日にそれが飛び立ってゆく。わが家にもシロアリの巣があることがわかったのだった。すぐに近所の大工さんをよんで、調べてもらうと真下の地面と接する土台の部分に蟻道が見つかった。今週、業者に消毒をしてもらう手はずを整えたが、ぼくがびっくりしたのはシロアリの存在よりも大工さんの身の軽さだった。高い脚立を素早く上り下りする、その柔らかな若々しい肉体。

 大工さんはぼくと同年齢なのである。もうひとり同年齢のひとが同じ町内にいる。このひとは裁判所の書記官をやっていた事務屋。東京地裁でさっそうと大股で歩いている姿を見たことがあった。いまもよく出会うが、もはや行き交う知人をだれと認識できないようすで、みるみるもうろくしていく。歩くスピードも歩幅も2分の1か3分の1に退化した。背を丸めて上目づかいにひとを疑いの目で見る。ああはなりたくないと思うばかりだ。やはり肉体労働者よりも事務労働者のほうが、老化や認知症が進みやすいのだろうか。

 大工さんと元書記官の存在がきっかけではあるが、青春しようという心の流れの根っこにあるのはきょう5月10日がペン森の新学期だからである。今期の春採用はほぼ終わった。ペン森はかつてないくらい内定が少なかった。受講生という母数がこれまでになく少人数という事情が最も大きいだろうが、ぼくの志や意気込みやジャーナリズムに対する気迫、若者と社会の未来について思考といった精神的な発露が切迫してなかったことも起因しているにちがいない。日本の絶望的な未来像からみて、若者の意欲をかき立てること、さしあたりぼくのできる絶望回避の道だろう、と思い至った。

 今週から、今期の秋採用組と来期の採用組が入ってくる。ぼくは朝一番でホワイトボードに今週の論作文のお題を3題記した。800字2題、1000字1題。講義も夕5時半ごろからスタートさせたい。講義の通底テーマは戦後史としたい。その中から受講生の意欲ややる気を誘引できれば幸いだ。同時にそのことによって、ぼくたちの世代が青春時代に刺激を受けた思考力、読書、知性、歴史観、紀行心、思想性が蘇生し、ぼくを青春にもどしてくれるはずだ。それを受講生に伝播できればこれは悪い循環ではない。青春しようという真の意味はそういうことである。

 元裁判所書記官のように肉体が退化してしまうと、そこには精神の溌剌さや生命のみずみずしさも、まったく感じられなくなる。その点、大工さんは発見や工夫に内なる喜びを感じているふうで、そのたたずまいだけで心身の躍動感が伝わってくる。ぼくはペン森で大工さんのような老人になりたい、と着想したのである。老人は人生の短さを言うのではない、という詩があるが、ぼくは志と意欲は前向きの長い青春のままでありたい。こうなれば、恋人もほしくなるなあ。青春だからさ。

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