ペン森通信
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未知なるものはやはり人の心だ
 青木理という共同通信の事件記者だったジャーナリストの『絞首刑』(講談社)と橋本治の『巡礼』を探しに本屋にいったが、買ったのはダカーポ特別編集『最高の本2010』と開高健『人とこの世界』(ちくま文庫)だった。ダカーポは休刊になったが、こういう形で名物特集だけが独立して残るというのがうれしい。ぼくが最高に興奮した『ゼロ』がリストアップされてないのは、残念であったが、407冊が網羅されている。本の題名をみているだけで想像力がかきたてられて、刺激的だ。

 『ゼロ』は俳優の読み手名人、児玉清さんが大推薦していて、ぼくも泣けた。「ゼロ」とは零式戦闘機のことだとは前にこのブログで書いたが、特攻といえば海軍特攻隊の生き残りだった田英夫さんが先日亡くなった。田さんは日本におけるテレビキャスターの先駆者である。共同通信からTBSのキャスターに転身してベトナム戦争時、米軍北爆下の北ベトナムに入った「ハノイ 田英夫の証言」が有名だ。現場主義を貫いたひとで、ハノイの実態は事実報道のひとつの金字塔であった。しかし、自民党政府はTBSに田さんの解任を迫る。田さんは退社する。

 田さんはぼくが事務局長をやっていた「子ども平和基金」の代表。某ジャーナリストにその会の賛同人に加わってくれるよう依頼したところ、反対された。反対の理由が「田さんが勲一等をもらったから」というものだった。田さんは参議院議員34年間と長く、社民連代表も務めた。その功労で2001年勲一等を受賞した。日本の勲章授与は天皇の国事行為のひとつで、勲章は天皇の名において授与される。反戦・護憲・ハト派の代表ともいうべきあの田さんが、天皇から嬉々として?勲章を授かるなんて、と違和感をもったひとも多かった。くだんのジャーナリストは見下げ果てた、と吐き捨てた。

 そのジャーナリストは芯がとおった気骨のひとでぼくとは親しい。あなたのやろうとしていることには何の曇りもなく、賛同する。が、同じ革新派として同志同然の田代表が勲章をもらったことが納得できない。と、かれは心情を吐露した。ぼくはそのジャーナリストに余計、畏敬の念を抱いた。ぼくもまた、田さんは天皇からの勲章授与を断るのでは、と期待する気持ちがあったのである。ぼくは田さんの評伝を書かせてもらいたいと申し出て了解をえていた。新聞の切り抜きを集めたりしていたが脳梗塞で倒れ、諦めざるをえなかった。もし書くとすれば、勲章をもらったときの心境を必ず聞いたはずである。

 聞き漏らしたのは残念だが、田さんもまた人間だったのだ、と思えばいい。なにしろ、ひとの心というのは残された最後の秘境である、というのがぼくの考え。『人とこの世界』には、現代文学では未知なるものは性しかない、女のパンティのなかにしか文学は入ってない、との卓説も披露されるが、やはり未知なる神秘はどんなに時代が変わってもひとの心だ、だから小説も世の中もおもしろい。


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