ペン森通信
むかしの映画は喫煙もうもう
 むかし観た、あるいは見逃した映画をDVDでよくみる。徒歩25分のところにある地元のTSUTAYAには毎土曜日に借りに行き、新宿のTSUTAYAは水曜か木曜に開店早々の時間に立ち寄る。DVDやビデオを2度借りしまうのは、ぼくにとっては珍しくもない。TSUTAYAは高いという印象が強かったが、高齢者優遇料金を取り入れてから、7泊8日1本200円と割安。で、気軽に何本も借りるようになった。TSUTAYAは過去に借りた経歴を教えてくれないから、たびたびあれこりゃ前にみたよ、となる。

 もっとも以前にみたが、また観たいという映画もある。小津安二郎の遺作「秋刀魚の味」は1962(昭和37)年、ぼくが新聞記者になった当時の作品だが、先週あらためて借りた。下から目線のカメラワークよりも、今回ぼくは中学を出て40年たつ旧友たちの仲のよさ、かつて古文を教えたひょうたん先生の泥酔落魄ぶり、見合い結婚、トリスバー、喫煙真っ盛りに時代の流れを感じた。旧友たちは盛代に飲み、よくたばこを吸う。ぼくは、旧友の仲のよさにペン森の卒業生もそうなるだろうと思った。ひょうたん先生の泥酔落魄は10年後のぼくと重なった。ぼくの世代には嬉しくもせつない名画である。

 キャストは小津映画の常連、笠智衆(男はつらいよ、の住職)をはじめ佐田啓二、岩下志麻、岡田茉莉子、東野英治郎、杉村春子、中村伸郎と芸達者をそろえた名作。妻に先立たれた煮え切らぬ父親の笠智衆は、かいがいしく世話を焼いてくれる24歳の娘、岩下志麻を旧友たちの計らいでやっと嫁に出す、と筋はきわめてシンプル。だが、味わいは魚のサンマよりも深く奥行きがある。初老を迎えた男の悲哀や孤影が、画面につかず離れずこもっていて、ぼくなんかやはり実感的に身に染みた。

 たばこで忘れられない名画は「グッドナイト&グッドラック」。50年代マッカーシズムという赤狩り(共産主義者やそのシンパに対する弾圧)が世に狂った。そのアメリカの「魔女狩り」に抗ったCBSキャスターエド・マローを描いている。言論の自由は闘いであるが、メディア志望者必見の映画である。話は逸れるが、オンエア中、マローはいつも左手指にたばこを挟んで立てていて、煙が立ち上っている。ほかのスタッフも喫煙しているから、スタジオはそうとう煙もうもうだったろう。アメリカは赤狩りに頭に血が上った反面、たばこにはまだ寛大だったのである。

 マローは65年に肺がんで亡くなるが、アメリカで禁煙運動が吹き荒れるのはかれが他界したあとからである。たばこで見逃せないのがアル・パチーノ主演の「インサイダー」。アメリカのたばこ産業に真っ向から挑むテレビプロデューサーの実話である。このころになると喫煙=悪の図式ができつつある。禁煙ファッショという声もあるが、ぼくも6,7年前から家族の猛反発で吸わなくなった。
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