ペン森通信
思いやりと優しさの名演説
 オバマ米大統領が誕生した。その就任演説の全文を読みたいが、日本語訳が掲載されるのは早くてきょう21日の夕刊からだろう。オバマ演説はケネディ大統領とキング牧師の演説を足して2で割ったようなもの、といわれる。しかし、オバマ自身は尊敬す16代大統領リンカーンをめざしていると思われる。

 就任直後の昼食会はリンカーンが1861年に就任した直後の昼食メニューと同じだった。互いにイリノイ州に縁が深いということもあるだろうが、やはり奴隷解放が結びつけたのだろうか。理想、平和、公平、希望の体現者としてのリンカーンの、ゲティスバーグ演説「人民の人民による人民のための政治」にも魂が揺さぶられたにちがいない。

 前大統領ブッシュは知性や深い教養を感じさせないままホワイトハウスを去ったが、かれもアメリカ人、雄弁そうに見えた。リンカーン、ケネディ、キング牧師と並んでオバマは名演説者の仲間入りをするだろう。「Yes we can」はキング牧師の「I have a dream」と共通する精神性を感じさせる。キング牧師は暗殺される前日にこの演説をした。あとにつづく台詞は「前途に困難な日々が待っています・・・」

 日本の名演説といえば民政党の衆議院議員、斎藤隆夫(1870~1949)が国会で1940年に行なった1時間半におよぶ反軍演説が有名である。議事録から削除された部分のさわりは。「聖戦ノ美名ニ隠レテ、国民的犠牲ヲ閑却シ、曰ク国際正義、曰ク道義外交、曰ク共存共栄、曰ク世界ノ平和」とこのような言葉を並べて、国家百年の大計を誤るようなことがあったら「政治家ハ死シテモ其ノ罪ヲ滅ボスコトハ出来ナイ」

 これで斎藤は陸軍から非国民と攻撃され、党籍離脱では収らず衆議院議員を除名される。結局、再選を果たすが、軍部批判を恐れなかったところは反骨の早稲田マンであった。その気骨はいまやいずこ。そして日本は太平洋戦争へと暴走していくのだが、ポツダム宣言の無条件降伏を受け入れる昭和天皇の玉音放送も演説の一種であった。「・・・其の共同宣言ヲ受諾スル旨通告セシメタリ・・・」

 ぼくが最も名演説と思うのは、チャップリンの『独裁者』で理髪店主が恋人ハンナにラジオで呼びかける6分間のあれだ。それは至言に満ちていて、ぼくは現代にも通用する次の台詞に耳が痛い。「スピードが自由を奪った。機械により貧富の差が生まれ、知識をえた人類は優しさをなくし、感情を無視した思想が人間性を失わせた。知識より大事なのは思いやりと優しさ。それがなければ機械も同然だ」。うむ、ぼくもどんどん機械化しているなあ。オバマの真髄は思いやりと優しさだね。期待しよう。

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