ペン森通信
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

ゲリラ豪雨の身延線乗り鉄
 1回目に八高線に乗った乗り鉄の2回目は身延線だった。9日土曜日、東海道線で富士まで下って甲府行きの身延線に乗った。真夏の日が差し込まない進行右側のボックス席に座る。最初の駅から空いていたぼくの左に化粧の濃いおばさん席を占め、いきなりささやくように「ダイセキジって知ってますか」と声をかけてくる。見ると膝の上に日蓮聖人の載ったパンフレットをもっている。すると大石寺のことだ。話を切りたかったので「知りません」と答える。

 「地元のひとも知らないのだから」とおばさんは言って、「地元の方ですか」と振ってくる。ぼくは聞こえないふりを決め込み、窓の外を見やっていた。おばさんは、関心を示さず冷たく無視するぼくには構わず、細い声でしゃべりはじめる。各駅停車ディーゼルカーの騒音にまじって「死後硬直」とか「末期がん」とか「信仰心」とか、断片的に陰気な言葉が聞こえてくる。

 おばさんはそうして20分近く、1人で陰鬱に話し続け「大石寺はここから15分くらいです」といやにきっぱりと言って、真っ赤な鳥居の目立つ富士宮で下車していった。ホームの後ろ姿はやせも太りもせず、いかにも健康そうで軽やかだったが、このひとは神経を病んでいるのでは、とぼくは思った。家族のだれもまともに耳を傾けてくれないので、いつのまにか1人で長々と話す癖がついた、のではあるまいか。あるいは1人暮らし?

 ぼくは幸先悪いなあ、と気分を害して山あいを快調に走行するディーゼルカーから、やせてひょろひょろした力ない杉が立っている杉林を見て、山は荒廃していると慨嘆していた。ふと左の窓に目をやると、なんと富士川が優美に蛇行している。東海道から甲府に向かうには左の席をとらねば、富士川の流れや川岸の砂模様は眺めることができないのだ。この身延線は車窓の富士川と富士山がため息ものの景色でね、それは「JR時刻表」5月号の表紙に採用されていることからもわかる。

 途中の下部温泉駅でいったん下車して温泉につかり、そこから甲府まで名物特急「ふじかわ」に乗り継ぐ予定にしている。ところが下部温泉駅に着く寸前、黒い雲が緑濃い山すそまでたれ込め、稲光も激しい。小振りの駅舎に飛び込むと、雷鳴がとどろき、雨足は天の底が抜けたように路面を叩いて砕け散って洪水状に流れだす。ゲリラ豪雨。閃光が目を射ったとたんにどっかーん。耳わきで大砲でも連続して撃つような地球破局的な大雷雨である。老婦人が長いすに丸くなって「怖い、怖い」と人目もはばからず泣いている。全線不通、運休。ぼくはそこで3時間足止めをくらった。変な宗教おばさんが隣席に座ってから旅は妙になった。次回3回目の乗り鉄は身延線を逆の甲府から攻めてリベンジだね。

スポンサーサイト

この記事に対するコメント

この記事に対するコメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する


この記事に対するトラックバック
トラックバックURL
http://penmori2007.blog108.fc2.com/tb.php/123-e4a7e9f4
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

瀬下先生

Author:瀬下先生
FC2ブログへようこそ!





最近の記事



最近のコメント



最近のトラックバック



月別アーカイブ



カテゴリー



ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる



ブログ内検索



RSSフィード



リンク

このブログをリンクに追加する





上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。