| 山の奥にもネタあり |
先週12〜14日、2泊3日で長野・新潟の山間部を回ってきた。学生3人とマスコミ採用試験作文のネタ(題材)仕込みのドライブ旅である。1ヵ所だけ、宿泊を考えていた新潟・長野県境の秋山郷の廃校跡温泉宿が3月限りで営業を止めていたので、行けないのが残念だった。
秘境、秋山郷は江戸時代、鈴木牧之の『北越雪譜』でその存在が豪雪地帯として知られるようになった。飢饉で村が全滅したこともあったというから、よほど過酷な自然環境である。ぼくは昨年2回訪れたが、学生の感受性とセンスがその秘境の歴史と人間と文化をどうとらえるか、興味があったのだが、今回は無念。
このようなネタの旅は毎年の恒例となっており、ぼく自身はそこに案内するだけであとは学生をほっておく。1回、土地のひとから話を聞きはじめたら、学生たちはそばでただメモするだけで、考えることも感受性の新たな掘り起こしもなにもしない。ぼくは案内役とドライバー役に徹するのを旨とする。
ネタはおおむねメディアで評判にはならないが、話題性やニュース性のあるものをぼくが見つけて提供する。徹底的に取材を重ねた吉村昭氏の著作にはずいぶんお世話になった。本のあとがきや取材余録エッセーに、おや!これは使えると思うものがあるのだ。吉村氏は長崎だけで100回以上行って調べたというほどだから、膨大な取材量をあの簡潔端正な文章に整理する過程でこぼれ落ちる題材があるのだ。
言ってみれば落ち穂拾いネタも多いのだが、ぼく自身が発見したものもすこしはある。これは明かすとペン森生に怒られるので、紹介は遠慮しておくが、専門紙誌やマイナー雑誌でイベント情報や人物に目を光らすと半年で、きっと2つや3つはみつかる。ネタは細部や山奥にもひそむ。
ぼくは話題を探してそれを新聞でルポしたり、雑誌でこれは売れるか売れないかというニュースの選定をやっていたので、学生よりもメディアが好きそうなえさを見つける感覚はあるだろう。ただ、行った先々で夜、必ず飲む。疲れていてもぼくの部屋に集まって二次会だから、学生たちの顔にはうざいじじいだよ、早く眠らせてくれ、と書いてある。
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